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歯周病と失明との関連性が示される

2018年7月11日

国際歯科研究学会(International & American Association for Dental Research; IADR)は、米国に拠点を置く、歯学を中心とした学術を取り扱う専門学術団体である。

近年、歯周病と様々な疾患との関連性が指摘されはじめており、全身健康管理の観点から、歯周病への対応が注目され始めている。そのような中、米国ジョージア州のオーガスタ大学歯学部の研究チームが、IADRにおいて発表した研究結果によると、歯周病と失明との関連性が示されたという。マウスを使った実験により、歯周病の病原菌であるP. gingivalis には、視覚を司る網膜色素上皮細胞への感染作用があり、失明につながる加齢黄斑変性(かれいおうはんへんせい)という眼疾患を誘発させ得ることが判明したという。

 

欧米における成人の失明理由の第1位が加齢黄斑変性(かれいおうはんへんせい)である。加齢黄斑変性は、加齢により網膜の中心部である黄斑に障害が生じ、視野の中心部分が暗くなる、あるいは中心がゆがんで見える眼疾患である。日本では加齢黄斑変性による失明は比較的少ないと考えられてきたが、人口の高齢化とライフスタイルの欧米化により近年著しく増加し、50歳以上の人の約1%にみられ、失明原因の第4位となっている。

 

研究に携わったPachiappan Arjunan博士は、

この研究は口腔内の感染症と加齢黄斑変性の関連性を示した最初の研究である。

などと述べている。さらなる研究が進められており、近くその成果についても発表される予定だという。

 

日本歯科医療への示唆

フレイル防止のために高齢者の社会的活動を維持していく上で、視覚は非常に重要な感覚の一つである。8020運動の成果などにより高齢者の残存歯牙数が増えた結果、高齢者の歯周病罹患率の高まりとその対策が新たなる課題となってきている。

 

口腔ケアや歯科検診の重要性が社会的に見出され始めている中、歯科医療界全体として如何に歯周病と向き合える体制を短期間で築き上げていくかが、日本社会における歯科医療のこれからを大きく左右する。

出典: IADR_Investigating the enigmatic link between periodontal inflammation and retinal degeneration

歯科レントゲン写真から分かるビタミンD不足とその活用

2018年7月4日

カナダのマックマスター大学の研究チームは、考古学と科学を結びつけた研究の成果として、歯科レントゲン写真から個体のビタミンD不足が分かることを突き止めた。

ビタミンDは体内のカルシウムバランスの調整や骨の健康を保つ役割を担っており、その欠乏は小児におけるクル病や成人における骨軟化症・骨粗しょう症につながる。また近年では、糖尿病・動脈硬化・免疫力低下・自閉症・うつ病・花粉症などとの関連も研究されている。

体内のビタミンDは、適度の紫外線を浴びることにより生成、あるいは食物から摂取されている。

 

考古学において、人類の祖先の日照状況や食物摂取状況を研究するためには、貴重な標本を切断しその断面図から情報を読み取るという研究手法が主流であった。

 

今回研究チームは、それに代わる新しい手法を模索する中で、歯科レントゲン写真からビタミンD不足を読み取れることを発見したと発表した

報告によると、ビタミンDの不足により、象牙質内でミクロの奇形が生じ、結果としてレントゲン写真の像に変化が生じてくるという。研究チームのD’Ortenzio博士は、”健康な歯牙においては髄腔の透過像は猫の耳のように見えることに対して、ビタミンDが不足している場合は椅子のように見える” と表現している。

出典: McMaster University

 

この発見は、考古学において貴重な標本を破壊しない新しい研究手法として役立つ可能性があるそうだ。

そして現代医学においては、歯科医療の現場から患者が気づいていないビタミンD不足の可能性を発見し、血液検査に誘導し、ビタミンD不足により生じる全身疾患への予防につながる可能性があるという。

 

特に成長著しい小児患者において、将来的な健康問題を未然に防げるのではないかと期待されている。

出典: News Wise_Archaeological Researchers Find That Dental X-Rays Can Also Reveal Serious Vitamin D Problems in Living Patients

 

歯周病が腸内細菌叢を介して関節炎を悪化させる新しいメカニズムを解明

2018年6月27日

新潟大学は8月1日、Porphyromonas gingivalis が腸内細菌叢を変化させ、腸管免疫を Th17 優勢な応答にシフトさせることにより関節炎を悪化させるメカニズムを明らかにしたと発表した。

研究は、同大学医歯学総合研究科の山崎和久教授、大学院生の佐藤圭祐氏らの研究グループが、理化学研究所との共同研究によるもの。
近年、様々な疫学的研究により、歯周病の罹患が2型糖尿病、動脈硬化性疾患、関節リウマチなどの全身疾患のリスクを高めることが明らかになってきている。

歯周病とそれらの疾患の関連メカニズムとして、歯周病の局所(歯肉)から血行性に細菌が全身循環に侵入する、あるいは歯周組織の局所で産生された炎症性サイトカインが血行性に全身をめぐり、様々な組織や臓器にて炎症を誘発すると考えられてきたが、このメカニズムでは説明できないことも多かった。

今回研究グループは、関節リウマチのモデルマウスを用いて歯周病原細菌の影響を解析した。この際できるだけ実際の病態を反映させるため、細菌を口の中に投与する方法を用いている。
2種類の歯周病原細菌(P. gingivalisとPrevotella intermedia)を週に2回、5週間投与したのち、コラーゲンタイプIIを免疫して関節炎を発症させ、免疫開始から6週間後に関節炎の重症度、腸内細菌叢、リンパ節中の Th172の比率、Th17のIL-17 産生能などについて解析を行った。
その結果、P. gingivalisを投与した場合にのみ、関節炎が重症化することがわかった。

また、腸内細菌叢を解析した結果、P. gingivalis投与群でのみ変動が認められ、その変化は細菌投与を中止した6週間後でも継続していた。 この細菌叢の変化に伴って腸間膜リンパ節におけるTh17細胞の比率が上昇し、IL-17 産生能も亢進していた。
これは、従来考えられてきた自己抗体の産生増強とは異なり、歯周病原細菌 P. gingivalis が腸内細菌叢を介して関節炎を悪化させるという新たな病原メカニズムを明らかにしたものだ。

以上の結果は、歯周病と関節リウマチの新たな関連メカニズムを提唱するのみならず、歯周病とその他の疾患の関連メカニズム解明にも大きな示唆を与えると考えられる。

今後は、これらの現象がヒトにおいても生じるか確認するとともに、歯周病治療が腸内細菌叢を改善することを明らかにすることが必要となる。
口腔内にはP. gingivalis 以外にも全身の健康に悪影響をおよぼす細菌が口の中に存在している可能性があるため、そうした細菌を最先端の網羅的解析技術を用いて明らかにし、口腔細菌叢の健康度から腸内細菌叢の健康度、 ひいては全身の健康度を簡便に評価する方法の開発につなげたいと研究グループは述べている。

本研究成果は7月31日、英国のオンライン科学雑誌「Scientific Reports」に掲載された。

出典:歯周病と関節リウマチの関連メカニズムを解明しました(新潟大学プレス資料)

個人の遺伝子の違いがCR充填の予後に与える影響

2018年6月10日

米国ピッツバーク大学歯学部の研究チームが、今月のfrontiers in Medicine において発表した論文によると、CR充填やアマルガム充填において喫煙・飲酒などの生活習慣がその予後に影響を与え、CR充填においては個人の遺伝子の違いが予後に影響を与えるという。

研究においては、脱離・着色により充填しなおす必要性がある場合、および二次カリエスがある場合を予後不良と定義し、4,856名の患者の歯科治療・生活習慣・DNAのデータを用いた分析が行われた。その結果、治療から5年後の実績評価において、アマルガム充填においては9.76%、CR充填においては9.85%が予後不良と判定され、両者の間に明確な有意差は見られなかったという。その一方で、CR充填とアマルガム充填共に、喫煙癖・飲酒癖のある患者においては予後が悪い事が判明したという。

日本においては、アマルガム充填が行われなくなって久しい。ここにおいて注目するべきは、個人の遺伝子の違いとCR充填の予後の関連性についてである。

象牙質内には、マトリックスメタロプロテアーゼ(以下、MMP)という酵素が含まれており、MMPにはMMP2、MMP3、MMP8、MMP9などの異なる型が存在し、遺伝子によりその発現が左右される。

CR充填においては、歯面処理剤による歯質のコラーゲンマトリックスの脱灰が行われる。この脱灰のプロセスにMMP2とMMP9が関与するという。分析によると、特にMMP2の存在とCR充填の予後不良に明確な関連性が見られたという。研究チームは、MMP2が脱灰のプロセスを阻害し、ボンディング剤の作用を低下させ、予後不良に導くのではないかとの仮説を立てている。ちなみにMMP2は白人の23%、中国人・日本人の14%、西アフリカ最大の民族であるヨルバ人の1.8%において発現する。

研究チームのDr. Alexandre R. Vieiraは、将来、遺伝子情報に基づいた個別の歯科治療が、治療の実績を高めることになるのではないか。などと述べている。
日常臨床の中では思いもよらない要素により、歯科治療の予後が左右されているのかもしれない。

出典: A Pragmatic Study Shows Failure of Dental Composite Fillings Is Genetically Determined: A Contribution to the Discussion on Dental Amalgams

重度の歯周病により癌のリスクが24%高まる

2018年5月9日

米国のタフツ大学とジョンズ・ホプキンス大学の共同研究チームは、
歯周病と癌の関連性についての研究成果を
the Journal of the National Cancer Instituteにおいて発表し、
1月16日にタフツ大学はそのホームページ上においてリリースを行った。

 

それによると重度の歯周病に罹患している患者においては、
健全・中軽度の歯周病に罹患している患者と比較して、
癌を発病するリスクが24%高まるという。

 

また、重度の歯周病との関連性が高い無歯顎患者においても
癌を発病するリスクは28%高まるという。

 

癌の種類別に見ると、
肺癌において最大のリスクの高まりが見られ、次が大腸癌であるという。

 

7,466名の対象者が90年代後半から2012年まで観察され、
その期間中に1,648件が新規の癌として診断された。

 

タフツ大学の Dominique Michaud教授は、
当研究は、癌と診断される前に歯周病検査が行われた対象群を用いて、
癌と歯周病との関係性を調査した研究としては最大のものです。
歯周病予防や治療が癌のリスクを軽減し、
特定の種類の癌による死亡者数を減少させることに有効かどうかについて
さらなる研究が求められます。などと述べている。

 

近年、歯周病と癌との関連性について様々な研究成果が発表されている。
歯周病の罹患については患者の自己申告に基づくものが多い中、
事前の歯周病検査に基づく大規模な研究としてその価値は高いという。

 

研究を通じて関連性が見られなかった癌としては、
乳癌、前立腺癌、血液癌、リンパ腺癌などが挙げられる。

 

また、人種による違いも見られ、
アフリカ系アメリカ人においては、
肺癌、大腸癌以外においては歯周病との関連性が弱い、
あるいは見られなかったという。

 

Michaud教授らは、
歯周病によるリスクについてより深く知ることは、
全ての人が享受できる歯科医療保険を作ることへの
後押しにつながり得ます。などとも述べている。

 

出典: Tuft Univertsity_More evidence of link
between severe gum disease and cancer risk

女性の歯周病患者において乳癌のリスクが3倍に

2018年4月9日

過去半世紀かけてタバコの健康被害が一般に知られるようになり、
さらに2010年以降でも
「健康被害はない」という認識が重なった電子タバコブームに対して、
短期間で「健康被害はある」というリサーチ結果が出された。

 

タバコのような商品と比較すると情報の浸透性は低いが、
歯周病による健康被害は
現時点で一般の人々に知られているより
はるかに大きい可能性が高い。

 

その一方で、日本においては8020運動などの成果により、
高齢者の残存歯が増加し、
次なる課題として高齢者の歯周病罹患率が高まってきている。

 

近年、医療全体において
歯周病の全身健康との関連性への注目度が高まってきており、
数多くの研究成果が発表され始めている。

 

10年後、20年後の日本社会においては、
歯周病の健康への影響に対する認識は、
現在のタバコに対する認識と同じようなレベルにまで
高まっているのかもしれない。

歯周内科治療とは

2018年2月14日

こんにちは、日野駅から徒歩1分、日野新町歯科医院です。

本年もよろしくお願いします。

 

昨年より当院では「歯周内科治療」を取り入れています。

 

歯周病についてはこのブログでも何回か書かせて頂きました。

日本人の多くがかかっている病気ですが痛みがないのが特徴です。

放っておくと全身疾患にも影響が出ます。

 

自宅での歯ブラシと歯科医院での定期的なクリーニングで歯周病予防をして下さい。

 

それでは、実際に歯周病になってしまったらどうすれば良いでしょうか。

当院では「内服薬による除菌治療」を薦めています。

 

内科の病気も身体の中をチェックして、処方をします。

歯周病も同様です。

 

お口の中のプラークを専用の顕微鏡で見ることによって、

歯周病菌の状態を患者さんと一緒に確認をします。

 

症状の度合いによって、服用する薬を処方して治療をします。

 

詳しくはお気軽にドクター・スタッフまでご質問ください。

コンクールF

2017年8月29日

当院では、「コンクールF」と言う
歯科医院専売のマウスウォッシュを取り扱っています。
1本で360回以上は使えます。

歯周病の予防、むし歯予防どちらにも有効です。
殺菌効果は12時間継続します。
寝る前に使用する事で、
朝お口の不快感に悩まされていた方も不快感が失くなります。
マイルドなミント味なので、マウスウォッシュのピリピリが苦手な方も大丈夫です。

 

マウスウォッシュ、フロス、歯間ブラシ

2017年8月14日

こんにちは、日野駅から徒歩1分、日野新町歯科医院です。

残暑の季節になってきましたが涼しい日々が続いています。

体調管理には十分お気をつけ下さい。

 

これまでは歯周病についてお話してきました。

歯を失う大きな原因にもなりますし、全身疾患とも大きく影響しています。

 

それでは歯周病をどのように予防していけば良いでしょうか。

 

定期的に歯科医院に通っていただくのが一番ですが、

やはり毎日のお口のケアも大切です。

ホームケアと歯科医院でのプロケアをバランス良くおこなって下さい。

 

ホームケアの一つとして本日ご紹介したいのは、

歯ブラシでの歯みがきに加えて、

「マウスウォッシュでのうがい」と「歯間部の掃除」です。

 

マウスウォッシュは殺菌作用もあり、

うがいによる自浄作用が期待できます。

当院でも取り扱っておりますのでお気軽にご相談ください。

 

また、歯周病の原因となるプラークは、

歯と歯の間に溜まりやすいです。

歯ブラシだけでの歯みがきでは中々おとせないです。

 

そこでデンタルフロスや歯間ブラシの使用をお薦めしています。

最近はお子様用のフロスも用意しています。

 

これらの器具を積極的に使って歯周病予防に取り組んで下さい。

使用方法など不明な点は当院スタッフまでお気軽にお問い合わせ下さい。

歯周病について ~その2~ 【歯周病と全身疾患の関係】

2017年7月14日

こんにちは、日野新町歯科医院です。

だんだん本格的な暑さが近づいて来ている気がします。

 

間もなく学校などでは夏休みにも入ってくるかと思います。

長期休みを使って、しっかり歯のケアもしておきましょう。

 

前回のブログでは、歯周病について書かせて頂きました。

歯周病というのは、歯ぐきが弱り、歯が抜けてしまう病気ですが、

実は全身疾患にも非常に関係している恐ろしい病気です。

 

【狭心症・心筋梗塞】

動脈硬化により心筋に血液を送る血管が狭くなったり、ふさがってしまったりして、

心筋に血液供給がなくなり死に至ることもある病気です。

 

動脈硬化は、不適切な食生活や運動不足、ストレスなどの生活習慣が要因とされていましたが、

別の因子として歯周病原因菌などの細菌感染がクローズアップされてきました。

 

歯周病原因菌などの刺激により動脈硬化を誘導する物質が出て

血管内にプラーク(粥状の脂肪性沈着物)が出来血液の通り道は細くなります。

 

プラークが剥がれて血の塊が出来ると、

その場で血管が詰まったり血管の細いところで詰まったりします。

 

【歯周病は糖尿病の合併症の一つ】

 

歯周病は以前から、糖尿病の合併症の一つと言われてきました。

実際、糖尿病の人はそうでない人に比べて歯肉炎や歯周炎にかかっている人が多いという

疫学調査が複数報告されています。

 

さらに最近、歯周病になると糖尿病の症状が悪化するという逆の関係も明らかになってきました。

つまり、歯周病と糖尿病は、相互に悪影響を及ぼしあっていると考えられるようになってきたのです。

 

歯周病治療で糖尿病も改善することも分かってきています。

(日本臨床歯周病学会ホームページより)

 

このように全身疾患にも関係していますので、歯周病も歯科医院でしっかり治療しましょう。

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