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mRNAワクチン接種と口腔外科手術のタイミングについて 日本口腔外科学会

2021年6月29日

6月4日、日本口腔外科学会はそのホームページ上で、mRNA COVID-19ワクチン接種と口腔外科手術のタイミングについての提言を発表した。

新型コロナワクチン接種については、その副反応も含め詳細なエビデンスが蓄積されていない中、その緊急性を鑑みて大規模な接種が開始されている。歯科医院においては、他科の診療所と比較しても多くの小外科手術が行われている。WHITE CROSSのユーザーアンケートでは、来院患者からワクチン接種と歯科治療のタイミングについて問われるケースが増えてきていることが判明している。

提言において、局所麻酔下および静脈内鎮静下で実施可能な智歯抜歯などの口腔外科小手術については、

抜歯後1週間以降に(抜糸時に抜歯部位を確認した上で)ワクチン接種可能の許可を与え、ワクチン接種後であれば3日以上経過して副反応が軽度であれば抜歯等の実施は可能だと考えます。ワクチン接種日には口腔外科小手術による抗菌薬や鎮痛薬を服用していない方が望ましいと考えます。
とされている。

また、

・外科手術後からワクチン接種までの待機間隔

・ワクチン接種後から外科手術までの待機時間

についても、日本医学会連合や日本麻酔科学会の提言を参照した上で、

全身麻酔における通常の2~3時間の口腔外科手術であれば、不活化ワクチンに準じてワクチン前後約1週間以上の待機というのが妥当かと思われます。また、手術侵襲の大きい口腔外科手術(悪性腫瘍の手術など)であれば、術後の免疫能低下を考えて術後2週間以上空けてのワクチン接種が妥当かと考えます。なお、手術後のワクチン接種の時期の可否は術後経過をみた上での医学的判断で、ということは言うまでもありません。また、1回目の接種と2回目の接種の間は3週間しかありませんから、手術によって2回目接種が妨げられないように全身麻酔手術は行わない方が無難かと思われます。
と提言されている。

加えて、緊急性のある手術は上記に関係なく行うべきであるという考えや、現時点では明確なエビデンスに基づいた基準はないことを前提に、それぞれの施設で検討し、院内で共通認識をもって判断することが大切であること。今後、厚生労働省からの見解が出た場合やmRNA以外のワクチンの場合には、変更する可能性があることを理解する必要があることなどが示されている。

歯科医院において、日本歯科医学会の専門分科会である日本口腔外科学会の提言を参考に、日々の診療に臨むことの価値は大きい。

出典
【重要】mRNA COVID-19ワクチン接種と口腔外科手術のタイミングについて(公益社団法人日本口腔外科学会)

健康な歯がうつを予防

2021年6月14日

東京医科歯科大学は5月25日、残存歯が多いとうつ症状が少ないという、口腔と精神的健康の因果関係を明らかにした。

この研究は、同大学大学院医歯学総合研究科国際健康推進医学分野の松山祐輔助教の研究グループと、ラドバウド大学のStefan Listl教授、ヴッパータール大学、キングス・カレッジ・ロンドンとの共同研究によるもの。

また、文部科学省科学研究費補助金のもとで行われたもので、その研究成果は、国際科学誌Epidemiology and Psychiatric Sciencesにオンライン版で発表された。

<<研究の背景>>

近年、口腔と精神的健康の相互の関連が報告されている。しかし、口腔の健康が精神的健康に影響するかどうか調べるには、社会経済状況や健康関心度など様々な背景因子を考慮する必要があり、これまで因果関係は明らかではなかった。

また、米国ではう蝕予防のために70年以上前から水道水フロリデーションが実施されているが、導入時期や人口カバー割合が地域で異なっている。

本研究は、この差を自然実験(公共政策や災害などの外的要因が、ある要因を変化させている状況)ととらえ、水道水フロリデーションという外的要因で守られた歯が、うつ症状を減らすかどうかを明らかにすることを目的とした。

<<歯を1本失うごとにうつ症状が増加>>

本研究では、米国のBehavioral Risk Factor Surveillance System(BRFSS)のデータを分析。2006年、2008年、2010年調査のいずれかに参加した人のうち、1940〜1978年に生まれた約17万人のデータを分析した。

上記17万人のデータの中から、永久歯が生える年齢に相当する5〜14歳の10年間における各地域の水道水フロリデーション人口カバー割合を算出。それを水道水からのフッ化物曝露の指標とし、喪失歯数との相関を調査した。

分析の結果、5〜14歳における水道水からのフッ化物曝露は、大人になってからの残存歯数に強く関連することが明らかになった。

さらに、うつ症状を評価するPHQ-8 得点*と喪失歯数の相関を調べた結果、歯を1本失うごとに、うつ症状得点が0.146 点高くなることが判明。また、統計的に有意ではないものの、歯を1本失うごとに、中等度以上のうつ症状(PHQ-8 得点 10点以上) がある人の割合が0.81パーセント・ポイント増えることが明らかになった。

* PHQ-8(Patient Health Questionnaire-8 depression scale):0〜24点の値をとり、得点が高いほどうつ症状が重度であることを示す

 

口腔疾患は多くの人にみられる病気で、日本でも約4,000万人に未治療のう蝕があると推計されている。

一方で、口腔疾患はフッ化物応用の普及、砂糖摂取の減少、禁煙環境の整備などで予防可能である。本研究から、自分の歯を多く保つことは、うつの予防にもなる可能性が示された。

出典
健康な歯がうつを予防する―自分の歯が1本多いと、うつ症状得点が0.15点減少―(東京医科歯科大学プレスリリース)

つめものの常識・非常識!!

2021年5月10日

歯医者さんで入れた「つめもの」が取れてしまったことはありませんか?
「歯医者さんの腕が原因?」と思ってしまうかもしれませんが、実はこれには様々な原因が考えられるのです。

 

これだけある!つめものがとれる原因

食べ物を噛んだり、だ液で常に湿っていたり、食事のたびに酸性・アルカリ性が入れ替わったりと、お口の中は想像以上に過酷な環境です。そのため、長く使い続けたつめものには歪みやヒビが入り、歯の形と合わなくなると取れてしまうことも。また、銀歯などの金属製のつめものをつけるとき、歯科用セメントにより合着されますが、それは時間とともに劣化します。このセメントが溶けて無くなることで、隙間が空いてつめものは取れてしまうのです。他にも、歯ぎしりや食いしばり、継続して強い力が加わる、などが原因で、つめものが取れることがあります。

 

再びむし歯になるリスクあり!

つめものは高い精度で製作されていますが、取れるほどではなくても、隙間ができることは多々あります。そして、この隙間にプラーク(歯垢)が入り込むと、新たなむし歯を引き起こしてしまうのです。こうしたリスクがあるため、治療したところほどしっかりケアをする必要があります。

 

放置したらどうなるの…

痛みがないと、つい放置してしまいがちですが、つめものが外れてしまった歯の面はでこぼこしているため、歯みがきがしづらく、汚れがたまりやすいもの。つめものが取れたままでいるとあっという間にむし歯が進んでしまうので注意が必要です。そのうえ、つめものが外れた部分は象牙質が露出している場合がほとんど。象牙質はむし歯になりやすい組織なので、つめものが取れたらすぐに歯医者さんに行くのがおすすめです。早めに対応すれば取れたつめものをそのまま再着できることもあるので、早めに歯科医院で診てもらいましょう!

 

いかがだったでしょうか?つめものの事で何かお悩みの際は医院へご相談下さい。

歯は鉄よりも固い!?

2021年4月10日

みなさんのお口にある歯。実は、とても硬いということをご存知ですか?
今回は、歯の硬さとむし歯の関わりについてのお話です。

 

ものの硬さを測る単位のひとつとして知られる『モース硬度』。モース硬度は10段階で表され、数が大きくなるほど硬くなります。鉄はモース硬度では4に分類されています。一方歯はどうでしょうか、なんと10段階中の7に当てはまります。ということは、みなさんのお口の中にある歯は、実は鉄よりもずっと硬い素材でできているのです。

 

酸に注意!!

これだけ高い硬度を持つ歯でも苦手なもの、それが『酸』。実は、私たちの歯は食事のたびに、「むし歯菌」の排泄物である「酸」によってエナメル質の表面が溶かされており、その状態が続いてしまうと、いずれむし歯になってしまいます。通常は、むし歯菌が酸を出しても、歯は「だ液」の力を借りて修復し、健康な状態を保とうとします。しかし、むし歯菌が作り出す歯垢(プラーク)を放置してしまうと、粘着力の高い強い膜に被われ、唾液の力も及ばなくなってしまうのです。

 

歯を酸から守るには

むし歯を防ぐためには、お口の中を清潔な状態にする必要があります。歯の表面に張り付いた細菌や歯石は、歯科医院の専門的な器具でしか落とせないので、プロの手を上手に借りましょう。定期的なメインテナンスを行うことで、むし歯だけではなく、お口の病気早期発見にもつながりますので定期的に歯医者に行きましょう!!

口腔ケアで免疫力をアップ

2021年2月10日

新型コロナウイルス感染症もまだまだ対策が必要です。

当院では、お入り頂く際に手指消毒と靴の裏の消毒をして頂いています。空気清浄機も設置し、換気も適宜おこなっております。

 

日本歯科医師会のHPで「口腔ケアで免疫力をアップ」と言う内容の記事が出されています。

以下、一部引用いたします。

 

人の免疫は、害を与える微生物などに対して働き、病気を軽く済ませてくれたり、発症を未然に防いでくれたりします。この病気の発症は、微生物の悪さをする力と免疫力のバランスが崩れた時に生じるのです。このバランスを免疫力優位にしておく必要があります。

 

その方法の1つが、口腔ケアです。

 

口の中には、細菌が沢山いるのをご存知ですか? 常在細菌といって、体を守る働きを示すものもありますが、悪さをする細菌もいます。この悪さをする細菌やウイルスを減らすことが大切です。細菌の塊であるプラークは、歯磨きをしないと落とすことはできません。口の中には、もう1つ細菌の塊があります。それは舌の表面についた舌苔です。これらの細菌を口腔ケアにより減らすことで、口腔の免疫が十分に働くことができるようになるのです。

 

新型コロナウイルス感染症対策として、試す価値は十分あります。いま新型コロナウイルス感染症に対しても口腔ケアが大切だという証拠を多くの研究者が探していますが、もう少し待つ必要があります。

 

もう一つ大切なことは、歯周病を放置し重症化してしまうと、歯周ポケットという深い溝ができてしまい、プラークや舌苔のように細菌の温床ができてしまいます。歯周ポケット形成の原因となる歯周病原細菌は、さまざまな分解酵素を持ち、それを口腔内にまき散らし、ウイルス感染を進めてしまうことも分かってきました。

 

いま歯科医院は、高度な感染防止対策を行い、皆さんを受け入れる準備を整えています。ぜひ、口腔ケアの大切さを理解していただき、歯科疾患を進めないために歯科医院でのチェックも忘れないでください。

 

当院では、定期的なメンテナンスと歯科衛生士によるクリーニングで、患者さまの口腔内を定期的に清掃しております。また舌清掃用の舌ブラシもご紹介しています。お口の事でお困りの事がありましたら、お気軽に当院スタッフにお尋ねください

 

うがいで新型コロナウイルス感染症対策(4)

2021年2月1日

■新型コロナは舌や歯ぐきからも侵入する

 

インフルエンザウイルスは、おもに上気道(のどや鼻、咽頭など)から体内に侵入してきます。しかし、最近の研究によれば、新型コロナウイルスは上気道だけではなく、歯ぐきや舌、唾液腺といった口のなかの細胞からも体内に侵入することがわかってきました。

 

ちょっと極端な言い方をすれば、インフルエンザはのどを洗うガラガラうがいだけでもある程度防げるのですが、新型コロナを予防するには、のどだけではなく、口のなかをしっかり洗うブクブクうがいも重要になるということです。

 

また、スペインの調査では、ポピドンヨードをはじめ、さまざまな種類の洗口液で口のなかをゆすぐと、2時間ほどは口内のウイルスの量を低下させられるというデータが出ています。「水によるうがいでも効果は十分では? 」という議論の余地があるようですが、口のなかを清潔にすることでウイルスの量を減らすことができることがわかる結果といえるでしょう。

 

■【基本的な7秒うがいのやり方】

 

1)水を口に含む

(水の量はおちょこ一杯分くらい。「ちょっと少ないかな」くらいがちょうどいい。水の量が多いと、口のなかで水流がつくれなくなる)

 

2)7秒間、全力でブクブクうがい!

(「ブクブク」としっかり音が出るように。口の奥から唇に向かって水を押し当てる。目標は7秒間で10往復。口がつかれたなら、しっかりできている証! )

 

3)水を吐き出して、また水を口に含む

(口のなかのばい菌が水に混じっているから、そのままゴロゴロうがいをしてはダメ! )

 

4)天井を見ながら、7秒間ゴロゴロうがい

(「ゴロゴロ」としっかり音が出るように。むせない程度に喉の奥まで水を入れる)

うがいで新型コロナウイルス感染症対策(3)

2021年1月30日

■新型コロナウイルスは、口のなかにばい菌が多い人ほど重症化しやすい

 

前述したように以前から、医師の間では、「口のなかが汚いと、インフルエンザになりやすい、重症化しやすい」というのが常識となっています。

 

実際、奈良県で行われた調査では、介護施設の高齢者に歯磨きなどの口腔(こうくう)ケアを徹底したところ、インフルエンザの発症率が10分の1に激減したという報告があります。

 

新型コロナウイルスについては、口のなかにばい菌が多い人ほど重症化しやすいことがわかってきています。そして新型コロナウイルスはインフルエンザと異なり、唾液腺や歯ぐき、舌など、口のなかで増えることも明らかになりました。

 

コロナウイルス関連の論文は通常より早いスピードで学術雑誌に掲載されていて、どんどん新しいデータが出てきています。そしてそのなかには、新型コロナに感染して重症化した人と、重症化しなかった人の口のなかのばい菌の数を比べてみると、100万倍くらいばい菌が多かったという結果もあったそうです。

 

もちろん、まだ因果(いんが)関係のすべてが明らかにされたわけではありません。ただ、口のなかを清潔に保つことが、感染症リスクを低下させることは間違いないでしょう。

 

■舌が白く汚れている人は、感染症の重症化リスクが高い

 

なぜ、口のなかが汚いと感染症に弱くなるのか。

 

これは、おもに歯周病菌が原因です。歯周病菌は歯と歯ぐきの隙間の「歯周ポケット」とよばれる場所のほか、舌の表面のデコボコのなかにもたくさん潜(ひそ)んでいます。

 

とくに、舌が白く汚れている人は、感染症の重症化リスクが高いといわれています。汚い口のなかでは、歯周病菌が繁殖してしまいます。歯周病菌というと、歯周病や口臭など、口のなかのトラブルに限定したばい菌だと思っている人も多いかもしれません。

 

しかし、歯周病菌はあなたの想像以上に、体にさまざまな悪さをします。たとえば、歯周病菌はプロテアーゼという「タンパク質を破壊する酵素(こうそ)」を出します。プロテアーゼは口やのどの細胞や粘膜を攻撃するので、歯周病菌だらけの口のなかは、つねに傷だらけです。

 

ウイルスが私たちの体内に侵入するとき、まず細胞の表面にあるレセプター(受容体)という分子に結合します。口やのどなどのレセプターは通常、粘膜を保護する糖タンパク質の層におおわれているのですが、プロテアーゼなどの酵素によってこの層が壊されると、レセプターがむき出しになり、ウイルスが侵入しやすくなってしまうのです。

 

また、歯周病菌はノイラミニダーゼという、インフルエンザウイルスの増殖を助けてしまう酵素も生み出します。歯周病菌が多いと、インフルエンザウイルスが増殖しやすい環境になってしまうのです。

うがいで新型コロナウイルス感染症対策(2)

2021年1月20日

■うがいは長くやるより「強く」やることが大事

 

そこで私は、自分のこれまでの臨床(りんしょう)経験をベースに試行錯誤を重ね、世界で唯一の「うがいメソッド」をつくりました。照山流のうがいメソッドをこれまで多くの患者さんに実践してもらったのですが、みなさんから

 

「スッキリ感がまるで違う! 」

「口のなかのネバつきがなくなった! 」

「歯石(しせき)がつかなくなって、歯医者さんにびっくりされました! 」

 

などと、うれしい反響をいただいています。うがいは、ただ時間をかけてやればいいわけではありません。うがいで大切なのは「強さ」です。

 

口のなかで激しい水流をつくらないと、歯ぐきや歯の隙間、のどの奥のばい菌やウイルスは洗い流せません。逆にいえば、「強さ」さえ意識してやれば、短時間でもしっかり効果のあるうがいができるということです。小さなお子さんからお年寄りまで、だれでも気軽にできて、しっかり効果のあるうがい。

 

それが後述する「7秒うがい」なのです。

 

■「7秒うがい」は全身の健康を守る

 

口のなかが汚いと、感染症のリスクが高まるだけにとどまりません。近年、口のなかの環境と、全身の健康との間に強い相関関係があることもわかってきました。

 

その数、じつに100を超える疾患に関与しているといわれています。口のなかが汚い人は、大腸がん、心臓や脳血管疾患、アルツハイマー病など、重大な病気にかかりやすいのです。これは、汚い口のなかで繁殖(はんしょく)した歯周病菌などが全身に回り、あちこちで悪さをするためです。

 

7秒うがいを習慣化すると、口のなかが清潔に保たれ、国民病ともいわれる歯周病、そして歯周病が引き起こす、さまざまな病気の予防に役立ちます。水だけでカンタンにできて、どれだけたくさんやってもデメリットがまったくない7秒うがい。

 

ぜひあなたも今日から実践して、口から健康な体を手に入れてください。

うがいで新型コロナウイルス感染症対策(1)

2021年1月10日

新型コロナ感染防止をより徹底するにはどうすればいいのでしょうか。正しいうがいをすることが重要です。新型コロナウイルスは、口のなかにばい菌が多い人ほど重症化しやすいことがわかってきています。インフルエンザと異なり、唾液腺や歯ぐき、舌など、口のなかで増えることも明らかになってきています。

 

※ 照山裕子先生『歯科医が考案した新習慣! 免疫力を高めてウイルスを遠ざける7秒うがい』(きずな出版)の一部を再編集したものです。

 

■歯磨きのうがい不足で、菌やコロナを含むウイルスを洗い流しきれない

 

「みんな、正しいうがいのやり方を知らないのかもしれない」

 

これが、長年歯科医師として働き、多くの患者さんの口のなかと、うがいのやり方を見てきた私の感想です。みなさんも歯医者さんに行ったら、治療の合間(あいま)に「口をゆすいでください」と指示されると思います。そんなとき、多くの患者さんは口のなかに水を含んで軽くゆすぐだけで、すぐに水を吐き出してしまいます。なかには、まったく音が聞こえてこないほど静かなこともあります。残念ながら、そのようなうがいでは、治療した歯の削りかすや薬剤などが、口のなかにベッタリと残ってしまっているのです。

 

もちろん、「治療の最中だから、手早く済ませよう」という患者さんたちの配慮もあるでしょう。あるいは麻酔が効いていれば、うまくゆすげなくて当然です。でも、もしも普段のうがいも2~3回ブクブクするだけで済ませているとしたら、明らかに「うがい不足」です。

 

これでは、口のなかに歯磨き粉の研磨剤などが残ったままになりますし、ばい菌やウイルスなどを洗い流しきれません。新型コロナウイルスの流行によって、これまで以上に多くの人が「外から帰ったら、うがい、手洗い」を習慣にしていると思います。

 

でも、そもそも間違ったうがいをしていては、その効果もほとんどなくなってしまいます。これはとても、もったいないことです。

 

■口のなかが汚いとコロナを含む“感染症”が重症化しやすい

 

しかし人々のうがいが不十分なのは、仕方がないことだと思います。というのも、私たちはだれも「正しいうがいのやり方」を、人から教わったことがないからです。

 

歯磨きについては、私たちは小さいころからやり方を教えられます。手の洗い方も、「誕生日の歌を歌いながら、爪の間までしっかり洗いましょう」などと教えてもらえます。

 

でも、うがいのやり方については、だれも教えてくれないのです。じつは「正しいうがいのやり方」は、確立されていません。うがいは日本古来の風習とされ、これまでだれも、うがいについてしっかり研究していないからです。

 

しかしその一方で、「口のなかの汚さ」と「感染症の重症化リスク」の関係性は多くの研究で明らかにされています。口のなかが汚いと感染症にかかりやすくなり、重症化しやすくなることは間違いないのです。

 

そもそも、虫歯や歯周病といった疾患(しっかん)も、れっきとした細菌による“感染症”ですから、口のケアが不足していると、まずはそうしたトラブルが発生してきます。

認知症の原因物質、歯周病によって蓄積する仕組みを解明

2020年10月12日

朝日新聞からの記事です。

 

歯周病菌が体内に侵入し、認知症の原因物質が脳に蓄積して記憶障害が起きる仕組みを九州大などの研究チームが解明した。歯周病と認知症の関連は近年注目を集めており、認知症対策につながる発見という。

認知症の7割を占めるアルツハイマー病は、「アミロイドベータ(Aβ)」などの異常なたんぱく質が長年、少しずつ脳に蓄積し、発症や症状の進行につながるとされる。

近年、歯周病の原因菌やその毒素が血管を通じて体内に侵入することで、Aβが体内でつくられ、脳に蓄積することが解明されてきたが、蓄積の仕組みは詳しく分かっていなかった。

九大や北京理工大(中国)などの研究チームは、マウスの腹の内部に3週間、歯周病菌を直接投与して感染させ、正常なマウスと比較した。その結果、歯周病菌に感染したマウスの脳血管の表面では、Aβを脳内に運ぶ「受容体」と呼ばれるたんぱく質の数が約2倍に増えていた。脳細胞へのAβの蓄積量も10倍に増えた。

暗い部屋に入れば電気ショックを受けることを学ばせた記憶実験では、正常なマウスは5分間、明るい部屋にとどまり続けたが、感染マウスは約3分で暗い部屋に入ってしまい、記憶力低下が裏付けられた。

一方、Aβを運ぶ受容体の働きを阻害する薬剤を使えば、感染した細胞内を通るAβの量を4割減らせることも確認できたという。

チームの武洲(たけひろ)・九大准教授(脳神経科学)は「歯周病菌が、異常なたんぱく質が脳に蓄積することを加速させてしまうことが明らかになった。歯周病の治療や予防で、認知症の発症や進行を遅らせることができる可能性がある」と話す。

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